回答
その製品・サービスを販売している限りは、古い事例であっても有効です。あえて削除する必要はありません。
ただ、「導入事例作成時」と「現在」では、製品の利用のされ方が異なる場合があるので、追加取材してアップデートするとよいでしょう。
その製品・サービスは今でも有効ですか?
本ホームページでお伝えしている通り、導入事例作成は極めてコストパフォーマンスの高い投資です。検索広告などと異なり、「繰り返し使える」「デジタルでも紙でも使える」「顧客の興味関心・共感を高めやすい」という特性があります。
ホームページの導入事例掲載、または印刷した導入事例配布において重要なのは、「その事例に掲載している製品・サービスが今でも購入できること」です。
もし、10年前に作成した事例に「製品A」が掲載されているが、その製品はもう販売を停止しているのであれば、製品Aの事例をアピールする理由はないどころか、見込み客を勘違い、落胆させるので有害です。
(例外的に、会社の信用力を高めるために、超大手企業への古い導入事例(今はない製品の事例)を残しておくという会社はあります。しかし、これは誠実ではありません。過去の超大手企業との取引実績をアピールしたいのであれば、会社の「沿革」ページにでも記載しておけばよいでしょう)
繰り返しになりますが、過去に作成した導入事例を今後も使うか、使わないかの判断は「事例に掲載している製品・サービスを、別な見込み客がほぼそのまま購入・導入できるか否か」を基準とすべきです。
事例をリニューアルし蘇らせる
本コラムを執筆しているのは2021年ですが、特に技術革新の早いIT業界だと、5年前の事例でもかなり古く感じます。ましてや10年前の事例ともなると、「化石」といってもよいほど古そうに見えます。
しかし、10年前に導入した製品・サービスを現在も使っている企業は多数あります。問題なのは「5年前、10年前の作成事例となると、それだけで『古そう』『もう使われていなさそう』『読んでも仕方ない』と判断されがち」である点です。
有名企業への導入事例や野心的な事例など、年月が経過しても価値がある事例はあります。導入した製品・サービスがいまだ提供可能である場合は、その事例をリニューアルすることをお勧めします。
リニューアルに際しては、以下の点に注意して取材・執筆するとよいでしょう。
- 以前に導入事例を作成したときからの、製品やサービス、サポート、構成の変化。
- 自社と顧客との関係の変化(深化)。
- 「数字」の変化。例えば、人員数、処理量、速度、データ量、ユーザー数など。
- 今後の計画。
例えば、5年前に製品を導入したユーザーに対して、導入直後に事例取材を行った場合、「今後こういう機能を使う予定です」「今後は別製品との連携を行う予定です」「業務を省力化してスタッフを負担を軽減する予定です」「処理量を増やす予定です」といった、様々な「予定」を話される場合があります。
5年後の現在になって、当時話していた予定がどのように実現されたのか(または実現されなかったのか)、それによりどのような変化が生じたのか、生じた変化により担当者の業務はどのように変わったのか、などを確認し、分かりやすく伝える。これが事例のリニューアルです。
まとめ
今回は「事例の賞味期限」というテーマで、「事例に掲載している製品を提供している限り、事例は有効」「リニューアルすると古い事例も蘇る」という点をご紹介しました。
マーケティング担当者は、どうしても新しいものばかりを追いかけたがりますが、過去に作成した強力な事例のリニューアルは非常に有効な手法です。ぜひお試しください。