回答
最初に、「有名企業」「特徴ある事例」などを軸に、3個の事例を作りましょう。
その後、顧客層や業界を広く網羅できるように事例数を増やしていきましょう。
見込客に自分事と思ってもらえる事例を作る
前回のコラムでもお伝えしましたが、基本的には主力となる製品サービス数と従業員数、または、製品サービス数と主力顧客業種数でマッピングを行います。
これは、お客様に「この事例は遠い世界の関係ない話ではなくて、自社と同じ業種の大企業や競合他社の事例です」と伝えることで、事例を「他人事でなくて自分事」として感じて頂くためです。
このお問合せでは、提供する製品サービスは人事部門向けなので、おそらく「IT」「通信」「広告」などが業界が違っても、人事部門の仕事はさほど変わらないため、製品の利用のされ方は大きく違いはないはずです。
業界問わず同じ使われ方でも、導入背景は異なる
「ITの人事部門導入事例」「通信の人事部門導入事例」「広告の人事部門導入事例」で、「製品・サービスの使われ方」に大きく違いがない場合、事例の価値の差を大きく分けるのは、「導入背景」です。
例えば、同じ製品・サービスであっても、異なる動機で導入している例は多々あります。
- 売上・利益の増加
- コスト削減
- 人員の削減
- 規制対応
- 情報連携・業務完了のスピードアップ
- ベストプラクティスの吸収
- ノウハウの持つ社員の退職
- 事件・事故・トラブル対応
- 製品・サービスのサポート切れ
- 戦略的な予算配分の見直し、など
導入背景には、ざっくり「各企業特有の事情」「業界全体に共通する事情」がありますが、これらの背景を正しく浮かび上がらせることで、「生々しい、血が通った事例」になり、事例の価値を高めます。
事例は注力製品・サービスに厚く、それ以外に薄く
限られた予算の中で事例を作成するには、当然「何を重視して事例を作る取捨選択をするか」という観点が必要となります。ここで大切なのは、今後、会社を成長させる製品・サービスを意識することです。
ちなみに、「現在売上・利益が多い製品サービス」ではなく、「今後売上・利益を多くもたらす製品サービス」を意識すべきということです。
例えば、以下のような製品群があったとします。
このような場合、売上の大半を製品Aが稼いでいる状況ですが、注力すべきは直近リリースしたにも関わらず、売上が急上昇しており、利益率も抜群によい製品Bです。
おそらく、「製品Bが属する製品カテゴリ自体が急拡大をしている」「製品Bがシェア上位に食い込んでいる」「製品開発は大変だが提供は容易で工数がかからない」といったことがその理由でしょう。
限られた予算から事例を選ぶときは、上記のような観点を盛り込むことで、会社の経営指標を最もよく好転させられるものを事例化すべきです。
まとめ
お伝えしてきた通り、業界軸と従業員軸、または製品軸でマッピングし、そのマップを埋める形で事例を作っていくのが理想的です。
製品の使われ方が業界問わず似ている場合は、なぜこの製品・サービスを導入したのか、という背景に注意して事例を作成すると、立体感のある、血が通った事例を作ることができます。
最後に、予算の関係で事例作成本数が限られている場合は、「会社は今何に注力して、成長ストーリーを描いているか」「どの製品・サービスが今後会社の売上・利益に貢献するか」という観点で、作成する事例を選択するのがよいでしょう。